住宅購入者の思考はこう変わった!2025年の購買行動を読み解く|工務店のためのコンテンツマーケティング戦略

目次

なぜ今、住宅購入者の変化を捉えるべきなのか?

工務店の集客において、ここ数年で大きな前提が変わってきました。以前であれば、住宅展示場での来場や資料請求の数が、そのまま受注の見込みと直結していた時代もありました。しかし今は、同じ方法を続けていても思うように集客できない、反響が少ない、来場者の温度感が低い、といった課題を抱える事業者が増えています。

この背景には、社会や経済の変化とともに、住宅を買う側、つまり「住宅検討者の意識・行動・価値観が大きく変化している」という事実があります。

工務店がこれからも地域で選ばれ、安定した集客と受注を確保していくためには、「どんなに魅力的な家を建てているか」ではなく、「どんなふうに住宅購入者に伝わっているか」がカギになります。

本記事では、国の統計や調査データをもとに、住宅購入者の行動や価値観がどう変わったのかを解説し、それにどう対応すべきかという視点から、コンテンツマーケティングの戦略と実践方法を詳しく紹介していきます。

住宅購入者の価値観と行動はこう変わった

住宅を買う人の意識は、ここ数年で劇的に変化しています。特に2020年以降のコロナ禍を経て、「情報収集の方法」「検討のしかた」「重視するポイント」などが、かつてとは明らかに違うものになりました。

国土交通省リクルート総務省などの公的データをもとに、その変化を見ていきましょう。

住宅購入年齢の変化

国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査」によると、住宅取得者の平均年齢は以下のように推移しています。
・注文住宅取得世帯主の平均年齢:39.8歳(10年前より+2.3歳)
・分譲戸建て取得世帯主の平均年齢:38.2歳(10年前より+1.9歳)

以前は30代前半がボリュームゾーンだった住宅購入層も、いまや30代後半〜40代前半が中心になっています。この背景には、以下のような社会的要因が考えられます。

・未婚率の上昇により結婚・出産の時期が遅くなっている
・教育資金・老後資金とのバランスを慎重に考える人が増えている
・住宅ローンの返済や物価高騰に対するリスク意識が高まっている

今の住宅購入者は「堅実で慎重」、そして「情報リテラシーの高い世代」へと移ってきているのです。

住宅購入年齢の変化

従来、住宅購入の情報収集といえば住宅展示場、チラシ、雑誌、住宅情報誌が中心でした。
しかし、今では圧倒的にWEB検索とSNSが主流になっています。

リクルート住まいカンパニー「住宅購入・建築検討者調査(2023)」によると、注文住宅購入者の約75%以上が、購入前にSNS・YouTube・Googleなどを通じて情報を収集していると答えています。

特に注目すべきは、以下のような情報行動の変化です。

情報源主な目的・使い方
Instagramデザイン・間取り・インテリアのイメージ収集
YouTubeルームツアー、建築過程、施主インタビューなど
Pinterestインテリアや外観の参考写真を集める
Google検索「地域名+注文住宅」「断熱性能 比較」などで調査

つまり、「検討の入り口はSNS」「比較・判断はWeb検索」という二段階の行動が一般化しており、
展示場来場の前にほとんどの情報をインプットしている状態になっています。

価格よりも“意味のあるコスト”を求める時代へ

住宅価格の高騰が注目されがちですが、実際に購入者が重視しているのは単なる価格の安さではありません。
国土交通省の同調査や、リクルートの各種アンケートを総合すると、以下のような価値観の変化が見えてきます。
・初期費用よりも「光熱費・メンテナンスコストの抑制」
・豪華なデザインより「自分たちの暮らしに合う間取り」
・住宅性能(断熱・耐震・耐久性)への関心の高まり
・信頼できるスタッフ・地域密着のサポート体制

顧客は「価格」ではなく、「その価格がもたらす価値」や「安心感」に対してお金を払おうとしています。

購買行動は“デジタル×リアル”の融合型に

住宅購入者の情報収集は、今やデジタルが中心になっていますが、それだけで完結するわけではありません。実際の購入に至るまでには「リアルな体験」との融合が必要です。

この「デジタルで情報を得て、リアルで確認・納得する」という行動変化を理解することは、これからの集客戦略において極めて重要です。

来場者の“温度感”が低くなった理由

多くの工務店で「来場者数はそこそこあるが、受注につながらない」「商談化率が下がっている」といった声が聞かれます。その理由は、「検討段階が浅い段階でも気軽に来場できる環境が整った」ことに加え、「ユーザーのリサーチ力が上がった」ことが関係しています。


・SNSやYouTubeで建築事例や工務店の評判を調べたうえで来場する
・Googleで口コミやブログ記事を読み込んでから資料請求をする
・家づくりの知識が一定レベルに達しており、営業トークには敏感

つまり、来場の段階で「半分決めている」顧客もいれば、「ただ情報を取りに来ているだけ」の顧客も混在しているため、これまでのように「来た=見込み客」とは言い切れなくなっているのです。

資料請求は「売り込み前提」では見向きされない

住宅業界では今でも「資料請求→電話→来場誘導」という営業フローが多く残っていますが、こうした“旧来型の営業アプローチ”は逆効果になる場合もあります。

消費者庁の調査でも「個人情報の入力や営業電話への懸念があるため、資料請求は慎重になる」という声が多数報告されています。

実際にユーザーが資料請求をする際、重視しているのは次のようなポイントです。
・ どんな資料が届くのか、事前に具体的に明記されているか
・ 売り込み目的ではなく「学び・比較」の材料として使えるか
・ 自社の家づくりの特徴や強みが「押しつけがましくないか」

つまり、今の住宅購入者は「資料請求=購入意欲の高さ」ではなく、「比較検討のための情報収集手段」として捉えているのです。

体験型コンテンツが“決め手”になる

興味段階での情報収集を経て、購入を検討するユーザーは、最終的に「自分ごととして体験できるかどうか」を重視します。以下のような“リアルな接点”が、決断の後押しになる傾向が高まっています。

・モデルハウスやOB宅の見学会
・完成見学会+YouTubeルームツアーの併用
・家づくりセミナーや個別相談会
・施主インタビュー記事や動画(リアルな声)

特に動画やブログといった「購入者のリアルな体験」が重視されており、商品紹介だけではない“ストーリーのある情報”が選ばれる時代になっています。

購買行動は“デジタル×リアル”の融合型に

これまでの流れを受けて、いま工務店に求められる集客施策は、「商品の押し売り」でも「資料請求への誘導」でもありません。大切なのは、ユーザーが自然に興味を持ち、「この会社に相談してみたい」と思える状態をつくることです。それを実現するのが「共感型コンテンツマーケティング」です。

商品ではなく「人」と「価値観」を売る時代

今の住宅検討者は、建物の性能や間取りと同じかそれ以上に、次のような視点で家づくり企業を評価しています。
・この会社は、どんな思いで家づくりをしているのか?
・私たちの悩みに寄り添ってくれるか?
・担当者の顔が見える安心感があるか?
・スタッフの対応は丁寧か?売り込みは強引でないか?

つまり、「人間味」や「姿勢」が問われる時代です。
どれだけ性能やコストが優れていても、「共感」できなければ選ばれません。

そのために有効なのが、「人となり」や「家づくりへの思い」が伝わるような、ストーリー性のあるコンテンツを継続して発信することです。

住宅購入者の悩みに答えるコンテンツが信頼を生む

共感型コンテンツの基本は、「相手の悩み・疑問に真摯に答える」ことです。

たとえば次のようなテーマは、住宅購入検討層にとって非常に有益な情報となります。
・「注文住宅ってなにから始めればいい?」
・「土地探しと住宅会社選び、どっちが先?」
・「断熱性能って何が違うの?Ua値って?」
・「地元で信頼できる工務店を選ぶポイントは?」

このような情報を、ブログや動画、SNS、PDFガイドなどで発信することで、「この会社は信頼できそう」「ここなら相談してみたい」と感じてもらえるようになります。

実践編|工務店が取り組むべきコンテンツ戦略とは

ここまで見てきたように、現代の住宅購入者は「情報を自分で集め、自分の価値観で選ぶ」行動にシフトしています。だからこそ、工務店側も「売り込む」発想から脱却し、“選ばれる理由”をつくる情報発信=コンテンツマーケティングに取り組む必要があります。実際に工務店がすぐに取り組めるコンテンツ施策について、5つのポイントに整理して紹介します。

購買行動のステージに応じた「コンテンツ設計」を

ユーザーは、購入に至るまでに以下のようなステップを踏んでいます。
(1)興味・関心(興味を持つ)
(2)比較・検討(他社と比べる)
(3)相談・行動(問い合わせや来場)
(4)意思決定(契約に至る)

ステージ有効なコンテンツ事例
興味・関心ブログ記事(初心者向け)
Instagram投稿
YouTubeルームツアー
比較・検討他社との違いがわかる資料
性能比較コンテンツ
事例紹介ブログ
相談・行動来場前チェックリスト
家づくりQ&Aページ
LINE相談窓口
意思決定施主インタビュー動画
スタッフ紹介記事
アフターサポート紹介

重要なのは、「いきなり売り込まない」ことまずは価値ある情報提供によって信頼を得ることが、後の来場や受注につながります。

コンテンツの「メディア」を使い分ける

情報発信の方法は1つではありません。ユーザーの属性や行動傾向に応じて、発信メディアを戦略的に使い分けることが重要です。

メディア特徴・おすすめ用途
ブログSEO効果が高く、継続的な集客に貢献。初心者向けコンテンツに最適。
Instagramデザイン性・施工事例のアピール。女性や若年層に有効。
YouTubeルームツアーやインタビュー。長時間視聴による信頼感を得やすい。
Pinterest写真からの流入でデザイン重視層を惹きつける。
メルマガ・LINE見込み客との関係構築・ナーチャリングに活用。

すべてを一気にやる必要はありません。まずはブログやInstagramなど、「自社の強みが出やすいメディア」からスタートし、徐々に拡張する形がおすすめです。

SEO・検索キーワードを意識する

特にブログ記事は、SEO(検索エンジン最適化)を意識することで、「地域+注文住宅」などの検索からの自然流入を見込むことができます。

たとえば、以下のような具体的な検索キーワードに対して、有益な記事を準備しておくと効果的です。
・「○○市 注文住宅 おすすめ工務店」
・「注文住宅 いくらかかる 初心者」
・「家づくり 何から始める」
・「断熱性能 比較 地域名」
・「後悔しない 家づくり ポイント」

これらのキーワードをもとに、「悩みに答える記事」「選び方を解説する記事」「体験談や施主の声を紹介する記事」を用意していくことで、自然な集客導線が構築できます。

実際の“声”を使う=施主のリアルをコンテンツ化する

購入検討者は、住宅会社の営業トークよりも「実際に住んでいる人の声」に強く共感します。
だからこそ、OB施主インタビューや引き渡し後レビューといったコンテンツが非常に強力です。

・OB施主インタビュー(文章+写真、動画でも◎)
・「住んでみて気づいたこと」アンケート結果の紹介
・「建てた理由」や「決め手」に関する体験記事
・「実際の光熱費」「住んでからの後悔・良かった点」まとめ

信頼性を高めるためには、実名・顔写真あり(または似顔絵)・手書きでの掲載がベストです。
可能な範囲で、読者の「自分と似ている」と思える事例を増やしていきましょう。

毎月・毎週の「情報発信ルーティン」をつくる

コンテンツマーケティングは、一回きりの広告とは異なり、継続することで信頼が積み重なっていく施策です。だからこそ、ルーティン化(仕組み化)が非常に重要です。
例として、以下のような運用体制が理想です:

項目頻度内容例
ブログ記事更新月2〜4回家づくり基礎、性能比較、OB事例紹介など
Instagram投稿週3〜5回施工写真、スタッフ紹介、現場レポートなど
YouTube動画月1〜2本ルームツアー、OBインタビュー、家づくり解説
メルマガ配信月2回程度セミナー情報、人気記事紹介、キャンペーン告知

こうした情報発信の土台が整うことで、「この会社、よく見るな」「家づくりに詳しい会社だな」と思ってもらえるようになり、結果的に受注につながっていきます。

まとめ|“モノを売る”から“共感を得る”時代へ

2025年の住宅業界において、工務店が地域で選ばれる存在であり続けるためには、「モノとしての家を売る」から、「暮らしの価値や信頼を届ける」ことへと発想を転換する必要があります。

  • 住宅購入者の年齢・価値観・行動は変化している
  • 情報収集はWeb・SNS中心、リアルとの融合が重要
  • 押し売り型ではなく、共感型のコンテンツが信頼を生む
  • ユーザーの悩みに答える発信が、「相談」や「来場」につながる
  • 継続的な情報発信が、長期的な集客・ブランド構築につながる

時代の変化を受け入れ、その変化に対応したマーケティングに挑戦する工務店こそが、今後も地域で選ばれる住宅会社となっていくのではないかと私は考えます。

工務店集客でお困りの方は、株式会社ウィンクマークへ!

【超有料級】個別の無料マーケティング相談
住宅不動産業界の集客にお悩みの経営者様や営業責任者様、マーケティング部門の方に向けて、具体的な改善策や戦略をご提案いたします。広告予算の最適配分、来場予約の増加施策、自社集客の強化など、貴社の現状に合わせたアドバイスを無料で受けられる貴重な機会です。これまで数多くの成功事例を生み出してきたマーケティングのプロが徹底サポート。まずはお気軽にご相談ください!

この記事を書いた人

元不動産営業(3年)。WEBマーケティング歴8年目。リスティング広告、SNS広告、LP・コーポレートサイトのディレクション、SEO、GA4、GTM、MEOなどデジタルマーケティング全般に携わっています。インサイドセールス、パートナーセールス、コールセンターの運営などこれまで培ってきた経験を活かし、住宅不動産に関連する情報を発信してきます。

目次