【はじめに】
「最近見た住宅会社の広告が、SNSやYouTubeでもしつこく出てくる──」
これは、Cookieを活用した「リターゲティング広告」によって実現されてきた現象です。
住宅や不動産業界では特に、「比較・検討の期間が長い」「即決されづらい」という特性から、リターゲティング広告の恩恵を強く受けてきました。しかしその集客モデルは、いま根底から崩れようとしています。
2025年、Google ChromeはサードパーティCookieの完全廃止を予定。すでにSafariやFirefoxは先行してトラッキング制限を実施しており、「Cookie=個人情報の搾取」という風潮のもと、世界はプライバシー保護を最優先に進み始めています。
つまり、これまでのように「一度サイトを訪れた人にあとで広告を表示して、戻ってきてもらう」──という集客手法が、まもなく使えなくなるということ。
この記事では、住宅会社・工務店がCookieレス時代をどう乗り越え、「広告に頼りきらない集客」を確立できるか、5つの具体策をもとに徹底解説します。
なぜCookieが使えなくなるのか?
まずは前提知識として、「リターゲティング広告」がどう動いているのかを簡単におさらいしましょう。
●リターゲティング広告とは?

ユーザーがあるサイトを訪問したとき、ブラウザには「サードパーティCookie」が保存されます。この情報をもとに、GoogleやMeta(旧Facebook)などの広告プラットフォームは、他のサイトやSNS上でそのユーザーに広告を再表示していました。
住宅業界においては、下記のような流れが多く活用されてきました
・ユーザーがWeb広告経由で自社のモデルハウスページを訪問
・しかし資料請求や来場予約には至らない
・その後、SNSやYouTubeで自社のバナー広告や動画を再表示
・ユーザーが再訪問 → 資料請求へ
このように、「検討期間の長い住宅商材」にとって、リターゲティングは見込み顧客の刈り取りに極めて有効な手段でした。
●なぜリターゲティングが廃止されるのか?
それは「個人情報保護」「プライバシー保護」の観点です。欧州のGDPRや、AppleのiOSポリシー変更などを契機に、「勝手に追跡されるのは不快・危険」という認識がユーザーの間に広がってきたのです。
Googleもこれを受け、2025年後半からChromeにおけるサードパーティCookieのサポートを完全停止します。これにより、第三者がユーザー行動を追いかける広告手法はほぼ機能しなくなります。
Cookieレス時代に工務店が取るべき5つの対策

では、Cookieが使えなくなった時代に、工務店や住宅会社はどう動くべきか?以下の5つの対策が急務です
(1)ファーストパーティデータの収集と活用
(2)初回訪問時のコンバージョン最大化
(3)「記憶に残す」導線の構築(SEO/SNS/動画)
(4)プラットフォーム内のリマーケティング活用
(5)マルチチャネルとCRMによる“継続接点”
対策1:ファーストパーティデータの収集・活用を徹底せよ
Cookieが使えない世界では、「自社で取得した顧客情報(=ファーストパーティデータ)」こそが集客の命綱になります。
どんな情報がファーストパーティデータなのか?
- 資料請求・来場予約フォームの入力情報
- LINE登録時に取得した属性情報(年代、家族構成、希望エリアなど)
- モデルハウス見学後のアンケート
- 過去の商談履歴、営業担当のメモ
- イベント参加者の反応、感想、接客ログ
これらはすべて、自社が正当に取得し、顧客が自ら提供した“信頼されるデータ”です。
活用法:CRMやMAで「セグメント化 → アプローチ」
ファーストパーティデータを有効活用するためには、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)と連携し、以下のようにセグメントを切りましょう。
- 30代前半・共働き・郊外志向の層
- 土地探しから始めたい一次取得層
- 二世帯住宅を検討している40代後半の夫婦
このように、ニーズや属性ごとに分けたアプローチを行うことで、Cookieに頼らずとも「今この人に合う情報」を届けることができます。
対策2:LPや初回接点で「CV率」を最大化せよ
Cookieレス時代には、初回訪問での勝負がすべてです。「また広告で追いかければいいや」という考えは通用しません。
どう改善する?CVR最大化の4つの打ち手
- ファーストビュー(最上部)の設計を見直す
ユーザーが求めている情報を冒頭に打ち出し、即座に自分ごと化させます。 - 「限定キャンペーン」や「プレゼント訴求」
「今資料請求すると、人気の家づくりガイドブックを無料進呈」など、今動く理由を与えます。 - スマホ対応を徹底し、フォーム入力のストレスをゼロに
入力エラーを防ぐUI設計、ステップ形式、住所自動補完など。 - ページ内に複数のCTAを配置
ページ最上部・中間・下部など、複数箇所にアクションボタンを設置。離脱防止につながります。
対策3:SEO×SNS×動画による“記憶に残る導線”の構築
Cookieが使えない世界では、「一度離脱したら二度と戻ってこない」可能性が高まります。
つまり、思い出してもらえる仕組みをコンテンツで作ることが重要です。
●検索に強く、共感もされるSEO記事
住宅検討者が検索するのは「坪単価」「住宅ローン」「間取り」「土地探し」など、非常に具体的な悩みです。
例えば、
- 「広島 平屋 二世帯住宅 失敗しない方法」
- 「三重県 注文住宅 補助金 2025」
- 「建売と注文住宅 どっちがいい?」
といった地域+悩み系ワードで上位表示される記事を増やしておくと、ユーザーが自発的に再訪してくれます。
✅ ポイント
SEO記事は“役に立った”と思われればLINE登録や資料請求のCVにもつながりやすく、広告費ゼロで見込み客を呼び込む「営業資産」となります。
●Instagramは“ブランド記憶”を残すメディア
Instagramは「感覚的な好印象」を記憶に刷り込むのに最適です。
- 施工事例やルームツアー動画
- 間取り紹介(Before/After)
- お客様インタビュー(家づくりのリアルな声)
- 社員の人柄が伝わる投稿(職人紹介、設計士の思い)
投稿が蓄積されれば、広告で知られた後に「Instagramを見て社員を指名した」という導線も成立します。
●YouTubeは“指名検索”を生むメディア
動画は「覚えられる」「親近感が湧く」という点で最強のツールです。
例えば、
- 「40代共働き夫婦が選んだ間取り解説」
- 「モデルハウスルームツアー」
- 「建築士が語る『土地選びで失敗しない3つの視点』」
といった動画は、直接の反響がなくても「この会社なんか良かったな」とユーザーの記憶に残ります。
後日、「〇〇工務店 評判」などで指名検索され、資料請求に至る。これがCookieレス時代の理想的な流れです。
対策4:プラットフォーム内の1stパーティデータ活用を最大限に
Cookieがなくても、MetaやGoogleなどの広告プラットフォーム内で取得できる“ログインユーザーデータ”は生き残ります。例えば、
- Instagram動画を3秒以上見た人に、別の動画広告を配信
- YouTubeで自社動画を見たユーザーに、別の広告を表示
- LINE公式の“友だち”に対してセグメント広告を実施
これらは「Cookie」ではなく、「IDベースの1stパーティデータ」を活用しているため、今後も追客が可能です。
✅ 補足
特にLINEは住宅業界と相性抜群。「友だち追加」→「定期配信」→「イベント告知」→「来場」など、自然なナーチャリングが実現できます。
対策5:マルチチャネル×CRMで“継続接点”を作り出せ
Cookieが消える時代では、「接点は一度きり」で終わらない仕組みが必須です。
そこで有効なのが「マルチチャネル戦略 × CRM連携」です。
●どんなチャネルを組み合わせる?
- LINE公式アカウント(自動応答・セグメント配信)
- Instagram(定期投稿・ストーリーズ)
- メールマガジン(イベント・ノウハウ配信)
- YouTube(記憶形成・信頼獲得)
- 紙DM(展示会や内覧会の招待状)
顧客は人によって情報の受け取り方が異なります。若年層はLINE・SNS中心、中高年層はメール・紙DMを好む傾向も。
✅ 重要なのは、「すべてのチャネルの顧客情報をCRMで一元管理し、ナーチャリングの精度を高める」ことです。
第3章|Cookieレス対策を阻む“現場の壁”とその乗り越え方
どれだけ優れた戦略や施策も、「社内で実行できなければ意味がない」という現実があります。
ここでは、多くの工務店・住宅会社が直面する“3つの壁”とその突破法を紹介します。
壁①|社内リソースが足りない(人手・時間・知識)
- LP改善もSEO記事もSNS運用もやりたいけど、専任担当がいない
- 担当者が現場兼任で、広告管理や配信設計まで手が回らない
- 専門知識がなく、何を優先すればいいかわからない
▶対策:「外注と内製のハイブリッド体制」を構築する
すべてを自社でやるのは非現実的です。業務を分解し、以下のように外部パートナーに委ねられる領域は任せましょう。
項目 | 自社で対応 | 外注化がおすすめ |
---|---|---|
LPの構成や原稿 | 要点の指示・コンセプト | デザイン・実装 |
SEO記事の企画 | ネタ出し・チェック | 記事執筆・構成 |
SNS素材の撮影 | 写真提供 | 投稿文作成・投稿・運用代行 |
YouTube撮影 | インタビュー・素材撮影 | 編集・タイトル設計 |
「現場でしかできない部分」は社内が担い、それ以外はプロに任せることで、コストもクオリティも両立できます。
壁②|営業部や経営層との温度差
- 経営者が「今までのリタゲでうまくいってたのに、なぜ?」と理解してくれない
- 営業から「もっと反響数を増やせ」とプレッシャーがかかる
- Cookieの話が難しく、関係部署がついてこない
▶対策:「将来のリスク」と「今すぐできる対策」をセットで示す
- ChromeのCookie廃止スケジュールを資料化し、「今のリタゲ広告が使えなくなる日」を明確に
- リタゲ依存からの脱却を「コスト削減」「営業効率化」「ブランディング強化」として説明
- 「今のやり方が“突然通用しなくなる”」という危機感を共有し、社内のベクトルを合わせる
壁③|PDCAが回らない
- SNSやLP改善を始めたが、効果測定ができていない
- 「とりあえずやっている」状態で止まっている
- 数値が見えず、改善の方向性がわからない
▶対策:簡単でもいいので“指標”を決めてPDCAを回す習慣を
例えば:
項目 | 指標例 |
---|---|
LP改善 | コンバージョン率(CVR) |
プロフィール遷移率 | |
LINE配信 | 開封率・リンククリック率 |
YouTube | 視聴維持率・登録者数 |
「改善すべき数値」が見えれば、対策も具体化できます。スプレッドシートや簡単なBIツールでOKなので、“数値で判断する文化”を育てましょう。
【第4章|Cookieレス対策を阻む“現場の壁”とその乗り越え方】
Cookieレス時代に対応するための戦略やノウハウは数多く語られていますが、実際に現場で動こうとすると「思うように進まない」という声も多く聞かれます。そこでこの章では、住宅会社・工務店がCookieレス対応を進める中で直面しがちな3つの“現場の壁”と、それを乗り越えるための実践的なアプローチを解説します。
壁①:社内リソースの不足
よくある悩み:
「マーケ担当者が兼任で忙しい」「ウェブに強い人がいない」「日々の業務に追われて戦略が立てられない」
対処法:
まずは業務を「自社でしかできないこと」と「外部パートナーに任せられること」に分けて、必要最小限で回せる仕組みを構築しましょう。
例)
・フォーム改善やLPの文言調整 → 社内で対応
・データ分析や広告運用 → 外部に委託といった形でタスクを切り分ければ、少人数でも成果が出せます。
壁②:部門間の情報連携不足
よくある悩み:
「営業とマーケが連携できていない」「せっかく集めた顧客データが活用されていない」
対処法:
CRMの導入によって、マーケティングから営業まで一貫して顧客情報を共有・可視化することがカギです。
例えば、資料請求フォームで取得した顧客の「興味分野」や「希望エリア」を営業が把握していれば、提案の質も向上します。現場の属人的な勘や経験だけに頼らず、データドリブンな営業体制へ移行する第一歩です。
壁③:施策の効果が見えない
よくある悩み:
「SNSを更新しても意味があるかわからない」「LPを改善しても効果測定ができない」
対処法:
最初から大きな成果を求めすぎず、KPI(重要指標)を定めて“小さな成功”を積み上げていくことが重要です。たとえば、
- Instagramのリーチ数や保存数
- LINEの登録数とブロック率
- LPのコンバージョン率(CVR)
など、ひとつずつ成果を「数字」で確認していくことで、社内の理解や継続的な改善につながります。
「成功事例」だけでなく、「現場でつまずきやすいポイント」と「リアルな対処法」を把握しておくことで、戦略の実行力は格段に上がります。社内リソースが限られていても、“今できること”を少しずつ前進させることが、結果として大きな成果につながります。
【第5章|Cookieに頼らない「強い集客基盤」とは?】
Cookieレス時代において、最も大切になるのは「広告が使えなくても成果が出せる」状態、つまり自社独自の“強い集客基盤”を持っていることです。
その基盤とは、単に広告やSNSのノウハウではありません。以下のような3つの要素がそろって初めて、変化に強い体制が築けます。
■ 1)“惹きつける”コンテンツ資産を持っている
- ブログやSEO記事で「知りたいことに答える」
- InstagramやYouTubeで「見たい・知りたいを満たす」
- LINEで「直接届ける」コンテンツを構築する
これらの発信は、見込み客の心に残り、指名検索や口コミにつながります。つまり、広告に頼らずとも“自然流入”でファンを獲得できる状態です。
■ 2)“データを活かせる”組織設計がある
- CRMに顧客情報が整理されていて、営業がいつでも見られる
- SNSやLP、広告の成果が数字で確認でき、改善の判断ができる
- マーケ担当だけでなく、設計・営業・現場スタッフも同じ情報を共有できる
これは「仕組みの力」で売上を伸ばす体制です。Cookieが使えなくても、顧客理解を深め、個別最適な提案が可能になります。
■ 3)“継続的に改善する”文化がある
- SNS投稿の反応を見て改善する
- 来場者アンケートの声からLPを改善する
- メールやLINEの開封率・クリック率を見てタイトルや内容を変える
こうした“PDCAの積み重ね”が、集客を資産に変えていきます。広告や技術が変化しても、本質的な価値提供に集中する姿勢が、最終的には競合との差を生みます。
【まとめ|Cookieがなくても成果を出す工務店に共通すること】
Cookieレス時代の到来は、決して「終わり」ではありません。むしろ、“本当に顧客と向き合える会社”が勝つ時代へのスタートです。
✔ ファーストパーティデータを集めて活かす
✔ 初回接点で印象を残し、コンバージョン率を高める
✔ 記憶に残る導線をSNS・SEO・動画で作る
✔ LINEやプラットフォーム内広告で接点を維持する
✔ CRMを活用し、複数チャネルでナーチャリングする
これらを地道に実践することで、広告に依存せず“顧客に選ばれる仕組み”がつくれます。
最後に重要なのは、「一気に全部やろうとしないこと」。
自社の課題やリソースに応じて、できるところから1つずつ改善していくことが、最も確実な成功ルートです。
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